今井博子税理士事務所のここだけの話

不動産所得のある個人にお尋ね相次ぐ

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2013.09.17 Tue

税務当局が不動産の賃貸所得(不動産所得)のある個人を詳細に調べ始めているようです。
賃貸不動産が多い東京都など都市部を中心に「お尋ね」と題した文章が多数送付されており、今後調査を強化する可能性があります。
今回は、この不動産所得のある個人に対しての「お尋ね」に焦点をあてます。

一体なぜ?

税務署が抱える課題として、個人の不動産所得を有する人の「無申告」の実態が挙げられています。
例えば、個人で部屋の一部を他人に有料で貸している場合など、現金で取引され、その取引は表面化しないためです。

法人の場合は、すべて帳簿で繋がっていて、申告しないとは考えにくい為、今回のお尋ねは個人に限定される。

誰に送られているの?

7月以降、賃貸マンション・アパートなど賃貸不動産を持つ個人に税務署から2012年の不動産所得について文書で質問する「お尋ね」が送られています。文書は、東京国税局管内(東京都、神奈川県、千葉県、山梨県)の全税務署が不動産所得がある約110万の個人案件から選んで送付中。年内は続く可能性があるとみられています。

送付対象者は公にはされませんが、税務当局のKSK(国税総合管理)システムに蓄積した直近の年の申告書や決算書などを分析し、「修繕費が標準よりも多いケース」などを選定しているようです。

他の地域でも都市部の税務署は不動産所得に関心を強めており、東京国税局の方式が全国に広がる可能性もでているという。

税務調査とは違うの?

税務署からというと、「税務調査だ!」とドキドキしてしまうかも知れませんが、このお尋ねというのは、行政指導として個人に確定申告の中身を問うものであり、税務調査とは違います。基本的に回答する法的義務はないが、回答しないと税務署への呼び出しや実施の調査対象となる可能性があり、個人には、「事実上の調査と言っても構わない」と言われている。

お尋ねの概要

項目 回答する事柄
収入 全ての不動産の所在地と収入の内訳
租税公課 固定資産税などの金額と必要経費算入額
修繕費 不動産の所在地と修繕の内容
各修繕金額と必要経費算入額
借入金利子 不動産の所在地と返済先
返済合計額(うち利子分と必要経費算入額)
その他の経費 交際費、交通費、水道光熱費などの金額と必要経費算入額
不動産管理会社などへの支払金額と必要経費算入額
所有不動産の中身 賃貸の有無と利用状況
賃貸の状況 賃貸不動産の所在地
賃貸料(年額)
共益費、管理費、敷金、保証金の各金額

答えるべき?

法的義務がないとはいえ、基本的には回答しておくのが無難かと思います。そもそも「お尋ね」は、数値の異常値が見られる場合や、明らかな記載ミスなどが想定される場合に送られているようですので、手間ですが、問題が無いことを証明するためにも、キチンと回答をしておきましょう。

今後、何に注意すればいい?

最大の注意点は必要経費」と言われています。例えば、不動産所得のある人は賃貸物件と自宅を兼ねている場合が多く、自宅分も経費に含めていたり、借入金の利子は必要経費になるが、元本は対象にならないことなども注意が必要です。また、交際費にも注意しておくと良いかもしれません。税務署は計上されるのは不動産仲介業者との交際費程度と見ており、支出が多いとチェックされやすいという。

不動産所得の必要経費はどんなものがある?

  • 敷地の地代
  • 建物や付属設備の減価償却費
  • 修繕費
  • 建物の管理料など
  • 未収賃貸料などの貸倒金
  • 不動産を取得するための借入金利子
  • 火災保険料
  • 固定資産税など
  • その他の経費(交際費など)

これは不動産所得の必要経費?

  • 賃貸アパート兼自宅の自宅分の固定資産税 → 必要経費にはなりません。
  • 賃貸マンション兼自宅の自宅分の水道光熱費 → 必要経費にはなりません。
  • 転勤で留守宅を貸している場合の留守宅の修繕費 → 必要経費になります。
  • 現在住んでいる自宅の修繕費 → 必要経費になりません。
  • 賃貸アパート建設のための借入金の元本返済額 → 必要経費になりません。
  • 賃貸物件の登録免許税、不動産取得税、事業税 → 必要経費になります。
  • 不動産賃貸について学ぶための本の購入費 → 必要経費になります。

まとめ

気になっていた方も、知らなかった方も、知っていて損はない内容かと思います。
あたりまえのことを正しくやっていれば問題ないのですが、税理士などの専門家がついていない個人の方々が細部にまで気を配るのは簡単なことでは無いかもしれませんね。

この機会に必要経費などについて見なおされてみてはいかがでしょうか。

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